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Complete2  相続放棄 Ⅱ(韓国籍の相続放棄を帰化した相続人が申述)

司法書士長田事務所の事件簿2  /墨田区の遺言・相続・登記

1.事件の概要

被相続人(父)が在日韓国人であり、日本に帰化した相続人(子)が相続放棄した事件です。

しかも、家庭裁判所の管轄は中部地方でした。

私も初めてのケースですので備忘録として紹介します。

 

まず、日本人と違って、死亡申告(死亡届)の手続きを韓国領事館でも行わなければならないことと、韓国人の戸籍類の取得やその翻訳を至急してもらわなければなりません。

 

結論を言えば、相続から3か月以内にギリギリ間に合い、無事に解決しましたが、スケジュール管理が必要な案件でした。

 

2.問題の検討

①   準拠法

被相続人は、韓国籍ですが遺言はなく、相続は韓国民法に従って手続きをします。

なお、遺言があってその相続準拠法を日本法にする旨の記載があれば、日本の民法で処理ができます。

 

②   日本の相続放棄の熟慮期間の起算点の違い

韓国民法は、熟慮期間の起算点の考え方が厳しく、相続を知って3か月というのは、死亡事実と自分が相続人であることを知ったことであり、財産の有無を知ったことは考慮されないようです。

従って、この場合は熟慮期間の伸長も視野にいれて相続放棄の申述申立をするというハイブリッド申立を検討することが必要だと言えます。

 

③   韓国に被相続人の財産等はあるのか?

相続放棄の手続きは、日本でも韓国でもできますが、できれば日本で申立てをしたいものです。

従って、韓国に居住した期間が長かったり、韓国でのビジネスを行っていたかなどを聞き取る事にしますが、在日韓国人の2世や3世の方でしたら、日本にしか財産や債権債務がないことが多いと思います。

 

④   迅速に死亡申告をしてもらう

被相続人の死亡申告(死亡届)の手続きを韓国領事館でも死後3か月以内に行わなければならないですが、死亡申告自体の書類取得に時間がかかる上に、申告して戸籍に反映されるまで2週間位かかると聞きました。

 

⑤   (韓国の)戸籍等の手配

東京や大阪・福岡では、韓国語がわかれば大使館や領事館で即日交付できますが、今回の地方では郵送取得となり、1~2週間位の期間を考えた方がよさそうです。

さらに、韓国人の戸籍類の取得後は、その日本語翻訳もしてもらわなければなりません。

 

⑥   他の相続人について

韓国民法では、相続人の幅が広いために、ご本人が相続放棄した後の相続人の範囲を説明したほうがいいと思います。

なお、本件では、その必要はありませんでした。

 

⑦   余談

この手続きをすると、日本人のサービスのすばらしさを実感します。

具体的には、以前、韓国人の相続手続きをした際に、私のように韓国語がわからない人が韓国大使館へ相談に行っても、日本語訳をしてくれないので、その日は帰る羽目になりました。

しかし、韓国大使館・領事館の対応が悪いのではなく、私の海外旅行経験ではこれが世界標準だと思います。

 

ですから、今回は、専門の業者さんに頼むことをおすすめしました。

それでも、韓国領事館の手続きを頼む戸籍や翻訳業者は厳選すべきです。

従って、外国人の相続放棄は、日本人の手続き感覚で考えると痛い目に会うので、四十九日を待つことなく、直ちに手続きに取り掛かることが必要です。

 

3.解決期間

2カ月強

 

4.事件の種類

相続放棄申述受理申立て

被相続人が在日韓国人、相続放棄申述人(以下「本人」という。)が(帰化)日本人

 

5.時系列

⓪-1   本人が死亡事実を知る(ある年の4月7日)

本人は、当日急に葬儀に呼ばれたため、この日に父の死亡を知る。

ちなみに本人は、父と関係が悪く疎遠であったので、その健康状態や住所、電話番号なども知らなかった。

 

⓪ー2   相続放棄を決意・相談(同年4月下旬)

本人は、相続放棄すべきか否かを迷ったが、相続放棄を決意した。
 

①   着手(5月1日)

A.本人の希望

父の相続放棄をしたいが、あと2か月位しか時間がない。

生前から父とは折り合いが悪く、父の死亡日すら知らなかったし、その相続に関わりたくないために相続放棄をしたい。

 

B.方針の決定

韓国民法から問題を整理し、相続放棄に必要な書類の整理とを手配をし、できるだけ死後3か月以内に相続放棄申述の申立てをすることにしました。

7月4日裁判所到着を目標とし、場合によっては熟慮期間伸長の申し立ても検討する。

 

② 被相続人の死亡申告を韓国領事館にしていた(4月下旬)

⓪-2で本人が相続放棄を決意したので、喪主(韓国籍)が葬儀社紹介の行政書士に手続を急ぎで依頼していたが、仕事が遅いと感じていた。

 

③   被相続人の日本の住民票などが私に届いた(6月1日)

喪主に被相続人の死亡届や住民票除票を送ってもらった。

この頃まだ、死亡申告は終わっていなかった。

 

④ 韓国の戸籍類などの手配(6月18日)

本人の書類
現在の戸籍謄本、帰化した事実記載の除籍謄本、葬儀のわかる書類

被相続人の書類
住民票の除票、韓国の戸籍類として(基本証明書・家族関係証明書・本人が帰化した時まで遡った除籍謄本)、韓国の戸籍類の翻訳文

 

被相続人の死亡申告が終わった旨の連絡を喪主から聞いたので、戸籍等の依頼先を再検討することとした。

被相続人の書類を、先の行政書士ではなく喪主を通じて中部地方の韓国民団(在日本大韓民国民団)に依頼したところ、スムーズに手配できた。

 

⑤ 韓国の戸籍類が韓国民団から私に届く(6月28日)

韓国民団に依頼してから10日で郵送で届いた。しかも翻訳付き。
迅速さに恐れ入りました。

 

⑥ 相続放棄申述書を父の死亡地の家庭裁判所に発送(6月30日)

熟慮期間伸長の申立てをせずにギリギリ間に合いました。 

 

⑦ いきなり相続放棄申述受理通知書が本人に届く(7月8日)

なんと、書類が完璧だったためか家裁からの照会書がなくて完了した。

しかも往復郵送で土日もはさんだことを考えると驚異の速さです。

もちろん、最速で相続放棄申述受理証明書も取得済み。

 

6.解決

初めての韓国人の相続放棄でしたが、照会書の準備もしていたところ、突然完了のお知らせがあって驚きました。

 

7.さいごに

本件は、スケジュールがタイトな上に、全ての書類の手配と家庭裁判所管轄が中部地方でしたので、ミスは許されない状況でしたが、司法書士の実務経験が生かされたいい事例だったと思います。

しかし、これはご本人と喪主様、韓国民団様の迅速な協力があったからこそできたと言えますので、誰にでもこのように順調に解決できるとは限らないことを申し添えます。

文中敬称略としました。

 

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