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相続の開始後、裁判所での相続放棄の申立前に、被相続人の財産を使ったり処分した場合は、相続を放棄しないものだと考えることです。
これを、単純承認をしたと言います。
単純承認があったとみなされた場合は、原則として相続放棄の申立は受理されません。
これが、どの程度の処分であればいいのかは、迷うことがあります。
いろいろなご事情がありますが、できれば葬儀後は、まだ遺産に手をつけないことをおすすめします。
趣旨としては、本来相続人ができる行為をしてしまうと、それは相続放棄の意思はないとして、単純承認したとみなすということです。
ですから、遺産の利用や処分行為が単純承認にあたります。
例外としては、無価値な物の処分や保存行為や管理行為にあたるものは除きます。
以下は、よく質問される範囲での該当の有無です。
法定単純承認に該当する例 | 法定単純承認に該当しない例 |
①相続開始を知って3カ月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったこと ②遺産分割協議を行ったこと ③亡くなった人の貸金(債権)の取り立て ④相続財産の3年を超える賃貸借や売却、取壊し等の処分行為をすること ⑤相続預金を生活費などで使ってしまうこと ⑥相続放棄や限定承認後でも、相続財産の一部でも隠匿したり、処分したり、財産目録にわざと記載しなかったりすること | ①相続財産の修理(一般的な範囲で) ②相続財産の短期賃貸借(3年以内) ③通常の葬儀費用の支払い(質素な範囲で) ④無価値動産の形見分け ⑤相続財産の公租公課や公共料金の支払い(例:固定資産税や電気ガス代など) ⑥相続財産の地代の支払い ⑦相続財産の預金を預かる行為(預金を引き出しただけで1円も使わないこと) ⑧亡くなった人名義の保険料や住宅ローンの支払い ⑨令和6年4月1日より |
※ 遺産分割協議書での財産の放棄は、「相続放棄」ではありません(要注意)
【例】
よくあるケースは、遺産分割の話合いで自分の相続は放棄するというケースです。
これは、家庭裁判所に相続放棄の申立てをしていません。
この場合は、遺産分割協議は有効ですが、法律上の相続放棄には当たりません。
ですから、亡くなった人に万が一借金があった場合の債権者(相続債権者)に対しては、負債を相続していないとは言えません。
これは、遺産分割協議という相続人間の内輪の話だけで、亡くなった人の債権者(相続債権者)の利益を害することはできないからです。
あまり考えずに、書面だけで遺産分割をして、何も相続分を得なかった人は、「借金の相続」もない(相続を放棄した)。」と考えていることがありますので注意して下さい。
家庭裁判所での申立による相続放棄をしない限り、負債は相続しますのでご注意を。
熟慮期間(相続の放棄や承認の)の延期の申立を相続時より3カ月以内に家庭裁判所に行うことで、当初の3カ月をさらに延期できることがあります。
この延期の申立は、裁判所によって相続人の事情や財産調査の困難性、その他の承認や放棄に関する諸事情を踏まえてから認められますので、必ずしもこちら側の希望通りとなるとは言えません。
それでも相続財産調査が期間内にできないか不明な場合は、再度の期間の延期を申立てることもできます。
それでも、調査の結論が期間内に出ないとなった場合は、相続放棄で全てを失うよりも、相続財産の範囲で弁済義務がある限定承認の手続きも検討しなくてはなりません。
相続放棄は、裁判で言う判決のように既判力がありません。
よって、裁判所をだまして相続放棄をした場合に、相続債権者から訴訟を起こされて相続放棄が無効となることがあります。
亡くなった方(被相続人)の相続後に借金が発見された場合でも、
銀行ではなく、消費者金融やクレジットカードの借金がほとんどの場合には、
被相続人の債務調査を行うことで、相続放棄ではなく、債務整理と言う方法を選択できる場合があります。
一般的には、被相続人の借金は相続放棄をしない限り、金融業者は相続人に対して借金を相続したとして、代わりに返済をするよう要求することができます。
しかし、借金の性質によりますが、被相続人が借りた時期やその利率により、債務整理を行うことで、借金が減額されたり過払金(利息制限法を超えた借金の利息を再計算することで生ずるお金)が戻ってきたり、消滅時効の援用ができることがあります。
但し、相続放棄の可能性も残すためには、その期限がありますので、もし相続から3カ月以内ならば相続放棄の熟慮期間延期の申立を行う時間も必要ですので、急いでご相談下さい。
特に、ご自宅がある場合に、相続放棄をするとご自宅を失いますが、借金が大幅に減った場合であれば、借金部分を分割で返済できる金額にできれば、ご自宅を相続したいと考える方が多いと思います。
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