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コラム26(相続手続きの簡素化2-法定相続情報証明制度の話題の続編)

墨田区のJR両国駅前にある司法書士長田法務事務所は、錦糸町や秋葉原からも近くて便利です。

昨年の7月に書いた、

両国駅前の司法書士のコラム10(相続手続きの簡素化-(仮)法定相続情報証明制度の話題)では、一部の情報から予想の範囲で想うところを書きましたが、

本当に予定通り、本年の5月29日に、法定相続情報証明制度が行われるとは思いませんでした。(驚きです)

 

相続登記をしていない空き家問題の解決や震災復興、公共用地買収に、待ったをかけるわけにいかないのでしょう。

この制度自体は、今までの相続手続きの制度としては、一歩前進したと考えています。

 

しかし、ニュースの発表を見た人の中には、法務局に行けば簡単かつ無料で相続関係を証明してくれるのではないか?と勘違いしてしまう方がいそうです。

両国の司法書士が相続手続きがどう簡素化するのか、気になったことを書いてみました。

具体的な手続きについては、下のバナーへ(H29.6.2)

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第1.ざっくりと言う!法定相続情報証明制度のポイント

1.法定相続情報証明制度創設の背景とは-相続登記の告知機会を作る

法定相続情報証明制度創設の背景とは、

空き家や空き地などの相続登記をしていない方に対する相続登記を促進するために、法務局へ書類の提出に来た方に、相続登記の広報をすること

 

2.「一回だけ」法務局で法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする

被相続人(出生~死亡まで)及び法定相続人の戸籍謄本や住民票一式、並びに法定相続情報一覧図の作成をして相続人や代理人が法務局に提出すれば、

法務局が相続関係の証明書の写しを発行するというものです。

なお、この一覧図の写しは、必要があれば何回でも請求できます。(再交付は5年以内)

さらに、郵送申請や代理人による申請(申出)もできます。

 

3.法定相続情報証明制度の施行日

施行日は平成29年5月29日から

 

4.法務局以外でも相続手続きに利用できるようになる

この証明書の写しは、法務局のみではなく、税務署などの他の役所や金融機関などでも相続証明書として利用できるようになります。

 

5.複数の不動産や預貯金などの相続手続きが同時並行して行えます

この証明書の写しを利用すれば、

複数の法務局管轄にある不動産の相続登記を一斉にできるようになり、かつ、複数の金融機関などの相続手続きを同時並行して行うことができます。

 

6.法定相続情報一覧図の再交付の有効期間

申出日から5年間は、この一覧図の写しを再交付してもらえます。

 

7.被相続人ごとに作成される

被相続人ごとに、法務局で法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をします。

例えば、父が死亡し、その後母が死亡したような場合は、父についての法定相続情報証明と母についての法定相続情報証明の2件の申出を行います。

第2.「相続手続きの簡素化」とは、どのくらい簡素化されるものか?

1.目に見えるメリット

A.カバンが軽くなる

相続手続きの際に、法務局で先に一度手続きすることで、他の法務局や金融機関に行くときにたくさんの戸籍謄本等の束を持たなくて済むメリットがあります。

B.複数の相続手続きのスピードアップ

複数の法務局や金融機関に、同時並行して相続手続きを進めることができるので、相続手続きのスピードアップが図れます。

C.法務局以外の金融機関などの人件費やコピー代などが削減できる

法務局以外の金融機関などが、法務局という国が相続関係を証明するから、戸籍を読む手間や時間が削減できることで、法務局以外の金融機関などの手続コストが削減できる。

D.法定相続情報証明制度の利用は無料

財産のある方にとっては、法定相続情報証明制度の利用が無料とはありがたいです。

財産のない方にとっては、財産が多い方のメリットのために税金が使われるなんて、と感じるかもしれません。

E.戸籍謄本等の取得費用が軽減されます

今までは、同じ戸籍を2~3通づつ取得していたところ、各1通だけ取得すればよくなりますので、財産がたくさんある方にとってはうれしいお知らせですね。

2.がっかりする場面

A.相続人の変動に対応できない

法定相続情報証明制度の利用とは、管轄の法務局で、法定相続情報一覧図の保管及びその写しの交付の申出をすることです。

せっかく、法務局で法定相続情報一覧図の保管及びその写しの交付の申出をし、その写しをもらっても、その時の法定相続関係を証明するに過ぎません

 

時間がたつことで、相続人の一部が死亡したり、養親子関係などの家族ができたり、認知や廃除するなど、相続人関係に変更が発生するので、

あらたな相続関係に基づいて戸籍謄本を集めて、再度、法務局で法定相続情報一覧図の保管及びその写しの交付の申出をし、その写しをもらうことになります。

 

結局、被相続人の死亡事実は証明できるが、相続人に関しては、最新の戸籍謄本をチェックする必要があります。

法務局以外での利用が見込まれるとしても、金融機関などによっては、今までの戸籍謄本と同様に、この証明書の写しの有効期限を設定されることが考えられます。

 

B.相続手続で一番面倒な古い戸籍を自分で集めることは変わらない

法定相続情報一覧図の保管及びその写しの交付の申出をし、その写しをもらうには、

被相続人(出生~死亡まで)及び法定相続人の戸籍謄本や住民票などをそろえて、法定相続情報一覧図の作成をして相続人や代理人が法務局に提出することになります。

 

相続登記の促進が目的ではありますが、

本当に相続登記をしなければいけない不動産に限って、相続関係が複雑になっていることが多く、そのような戸籍の取得は、本当に骨も心も折れそうになるはずです。

 

残念ながら、この証明書の写しを取得するために、相続関係の大量の戸籍等を集めることに変わりはありません。

 

C.法定相続の証明に過ぎず、「簡素化」という言葉が独り歩きする

法定相続情報証明制度というタイトルのとおり、法定相続を証明する制度ですので、相続放棄や遺産分割などの情報は、この証明書の写しには反映しません。

 

一般の方は、今まで通り、遺産分割協議書などが必要ということを知ることになります。

相続で大変なことは、

戸籍謄本などを集めて相続人や相続分を確定することと、遺産を公平に分けること、遺留分や特定の遺産の帰属を解決する事だと思います。

 

しかし、法定相続情報証明制度の利用だけでは、別に相続手続きが簡素化するとまでは言えず、遺産分割などまで簡単になると勘違いされてトラブルになる可能性が考えられます。

D.不動産登記などの本来業務の完了に影響がありそうな予感

ここは、予感に過ぎないことをお断りしておきます。

法務局の対応が、20年前と比べて、格段に良くなりました。

法務局のホームページの解説の充実、登記相談の親切さ、大手企業のように電話相談センターまである。さらに、今回の法定相続情報証明制度。

 

法務局は、今後、登記と関係がない申請人や資格者が法務局に法定相続情報証明制度の申請の相談や戸籍謄本の集め方、見方、戸籍のチェックに忙殺されることが予想できます。

その結果、本業の登記事務に影響が出るのではないかと心配になります。

第3.相続登記の促進について-両国の司法書士の戯言

空き家や空き地、未登記の問題を解決したいことが、法定相続情報証明制度の目的の1つとなっていますが、もう少し踏み込んでほしいと思います。

1.欲しくない、価値が低い負動産のコストをいかに軽減するかが問題

弊職も田舎の相続登記を相続の際に受託しますが、本当に困ることがあります。

それは、相続登記の実費と司法書士報酬よりも負動産の価値が低いことがあります。

いくら、相続登記をした方がいいと言っても、割が合わないので依頼しないといいます。

 

さらに、田舎の人は自分の土地だから無理に登記しなくてもいい、または登記自体を面倒だと思っているのかもしれません。

法定相続情報証明制度を創設して相続人にいくら啓蒙すると国は言っていても、未登記又は相続登記を放置しておく人が多いのはこんな理由があります。

➡ R5.5.22追記

令和5年4月27日から、相続土地国庫帰属制度ができました。

いらない土地を放棄したい(相続土地国庫帰属制度)

2.弊職が考える相続登記の促進方法

市場経済の中にいる以上、目に見えるメリットやデメリットがない限り、空き家や空き地の問題は解決しないと思います。

そこで、過去のよい事例などを思い出してみますと、

以前、登記のオンライン申請を開始したばかりの頃には、オンライン申請を促進させるために、国は登録免許税を割引したことがあります。

 

国が本気で、空き家や空き地の相続登記を促進したいならば、

固定資産税評価額が低い不動産に限り、

相続登記を死亡後6か月以内にするなどの一定期間だけ登録免許税の免税を行った上で、戸籍謄本などの取得実費や代理人費用の一部をキャッシュバックする補助金のようなインセンティブが必要だと考えます。

 

法定相続情報証明制度のように、財産が多い人にメリットがある事を無料で行うならば、インセンティブについても、やむを得ないと理解されるのではないでしょうか。

 

そして、このアメと同時並行して、相続登記に限っては、登記しないことが社会的な損失となっていることを鑑みると、会社登記のように一定期間に登記をしないことに過料などの罰則を設けることも必要だと思います。

 

➡ R5.5.22追記

相続登記の登録免許税の優遇措置について

出典:平成30 年度税制改正の大綱(平成29 年12 月22 日閣議決定)より抜粋

1.土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設
(1)相続により土地の所有権を取得した者が当該土地の所有権の移転登記を受けないで死亡し、その者の相続人等が平成30 年4月1日から平成33 年3月31日までの間に、その死亡した者を登記名義人とするために受ける当該移転登記に対する登録免許税を免税とする措置を講ずる。

➡ 死者名義にする時の相続登記(数次相続のうち、一次相続の部分の登録免許税免税)


(2)個人が、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(仮称)の施行の日から平成33 年3月31 日までの間に、市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地について相続による所有権の移転登記を受ける場合において、当該移転登記の時における当該土地の価額が10 万円以下であるときは、当該移転登記に対する登録免許税を免税とする措置を講ずる。

➡ 市街化区域外の土地を行政が利用する場合に、法務大臣が指定する土地の価格が10万円以下の場合の相続登記の登録免許税は免税

 

コメント:(1)は、意味が分かりにくいと思いますが、相続登記を長年放置して数次相続となった人の一次相続の分だけの登録免許税を免税するという。これは、利用できる人も多いと思います。

コメント:(2)は、田舎の価格が10万円以下の土地で、行政による利用又は買収予定地の相続登記を対象にしているので、利用できる人は限られてきます。

 

1の(1),(2)は、現在は、令和7年3月31日まで、

1の(2)は、個人の相続土地の価格が100万円以下の場合、
所有権保存・移転登記の登録免許税は免税となっています。
また、行政利用などの制限がなくなりましたし、

10万➡100万円に増額されました。

 

令和6年4月1日より相続登記の義務化となります。

相続登記の義務化と相続人申告登記

3.最終的には、権利と所有コストを経済面と制度面で考えさせる事が必要

それでも、相続登記が行われない場合は、強制的に国が相続登記や国庫帰属の手続きを行い、その費用については、行政代執行を行う事も必要かもしれません。

空き家特措法で空き家を強制的に取り壊す行政代執行ができたように、権利の上に眠るものを保護しないという意思を見せる時代に差し掛かってきている気がします。

 

空き家や空き地問題には、

不動産の所有にこだわらない人が増えたこと、独身者や貧困者が増えてきたこと、人口自体が減ってきていること、不動産の価値は必ず上昇するという神話が崩壊したことなど、

現在の日本人の常識や考え方の変化に制度がついて行っていない問題があります。

 

今までは、所有権という権利を持つということは、その所有に係る管理義務も持つということをあまり深く考えなくてもよかった時代だったかもしれません。

しかし、これからは不動産所有のコストを深く理解する必要があるとともに、所有者が自主的に処分しない不要な不動産は国が一定の処理費用を所有者やその相続人から税金のように徴求して、国庫に帰属させる事も考える時代が来ているのかもしれません。

 

田舎の空き家の対策と処分

4.さいごに

いろいろと書きましたが、相続手続きの簡素化については、今後は少しずつ使い勝手が良くなると思います。

(この制度で相続登記が進むとは考えられないので、国の思惑は別にあるのでしょうが、相続手続きにかかわらず、経済界の要望で、行政手続きの簡素化は間違いなく進みます)

 

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