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10ヶ月ぶりのコラムの更新のきっかけとなるニュースがありました。(30.10.27執筆)
それは、平成30年10月中旬に、
巨額地面師事件のグループが逮捕された、
というニュースです。
地面師(じめんし)という言葉が、
お茶の間でメジャーになるきっかけの事件でした。
過去に書いたコラム「地面師とは?」シリーズの反響が大きく、
マスコミ各社からの取材を受けて感じたことは、
どうして司法書士や大手不動産業者がいとも簡単にだまされてしまうのか、
ということでした。
そこで、不動産取引の現場を知らない普通の方に向けて、
ジャーナリストには説明できない取引の死角を実務家の視点から、
今回のコラムにしてみました。
過去のコラムと重複する点もありますが、ご了承ください。
不動産の取引は、経験豊富で信頼できる司法書士に相談してみてください。
R6.7.28:次のお知らせに追記
記事としては、更新すべきこともありますが、
敢えて平成30年当時のまま残します。
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講師・メディア取材欄の後から記事が始まります。
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お知らせ
・令和6年12月7日、TBS CROSS DIG with Bloombergさんの「social shift」に当司法書士が出演
・令和6年12月7日、TBS NEWS DIGさんより当司法書士が地面師事件の取材を受けました
・令和6年10月12日、朝日新聞さんより司法書士の監修と存在意義などの追加取材を受けました
・令和6年10月11日、朝日新聞さんの「地面師たちのリアル」で当司法書士の取材がありました
・令和6年10月1日、㈱LIFULLさんよりドラマと不動産取引の実態についての取材がありました
・令和6年7月25日配信、netflixさん「地面師たち」登記・土地取引映像監修を当司法書士がしました
・令和6年7月25日、楽待youtubeさんで「地面師たち」小説家の新庄耕先生と対談(後編)しました
・令和6年7月23日、楽待youtubeさんで「地面師たち」小説家の新庄耕先生と対談(前編)しました
・令和1年12月5日 発売の小説地面師たち(新庄耕著・集英社刊)様の考証に協力しました
➡不動産の取引や地面師の手口、司法書士のことなどがよくわかる傑作ですのでお勧めします
大手メディア(テレビ・雑誌・新聞)の取材や不動産会社・シンクタンク・金融機関などのセミナー講師実績は次のバナーへ
現在のように、時代背景や市場環境が整い、豊富な人材に恵まれ、商品や材料も整いやすいことが挙げられます。
また、利益と比べて犯罪リスクは少なめですので、
一部のいけにえ(逮捕要員)を用意すれば大金が手に入る、うまみのある商売(犯罪)ができる環境が整っていると思います。
(詐欺罪は10年以下の懲役ですが、その立証が困難ですので、実際はそれ以下の罪名「例:文書偽造など」や刑期となりがちですし、手足となっただけならば執行猶予が付くこともあります)
1.時代背景
日銀による積極的な金融緩和と2020年の東京オリンピック開催の決定、
インバウンドの推進などを背景に、
5~6年くらい前から、
余ったお金が都会の不動産に大量に流れ込むことで、
東京などの大都市の都心部は、
建設や再開発ラッシュとなり、
開発する土地が不足するといったバブルに近い状況となりました。
2.社会背景
今は、
環境と商品、人材の全てが揃いやすく不動産詐欺(地面師)に絶好のチャンスです。
① 不動産の市場環境は、
都心の開発しやすいまとまった不動産は意外と少なく、
なかなか買主に情報が現れない。
売主が強気でいられて、
買主が複数現れ易く、急いで契約を決断させることができること。
特に、
山手線沿線で面積が大きい商業地としての希少価値がある不動産であれば、
常にリスクオンの不動産業界としては、
多少怪しくても契約を急ぎたいという事情があってもおかしいとは言えません。
さらに、
地面師は、抵当権を設定しない売買を提案しますので、
地面師被害にあうのは、
ただ同然の金利で現金を調達できる不動産業者などの法人となることが多いです。
但し、普通の消費者は騙されないとは言えず、
例えば、
その不動産業者が仕入れてしまったいわくつきの不動産を購入した普通の消費者にも、
影響があることがありますので、注意が必要です。
② 商品は、
少子高齢化により、管理不十分な高齢者の土地が探しやすいこと。
所有者の高齢化による不動産の管理能力の低下によって、
空き家問題や相続登記未了、所有者不明土地等の問題が発生していることも、
新聞やテレビでご覧になった方も多いと思います。
③ 人材や偽造アイテムは、
司法制度改革などの規制緩和により、
弁護士や司法書士などの専門家も仕事が減っていること。
また、インターネットによる情報の共有化や知識の無償化という、
社会構造の変化によって、
偽造技術の発達と印刷職人の失業、
ホームレスやリストラされた人材などが簡単に集められます。
これらの人材によって、偽造アイテムの用意も昔より容易になっています。
地面師とは?-司法書士との関わりへ
地面師とは?続編-司法書士との関わりへ
地面師詐欺は、
専門性が高い性質上、それぞれの専門家が協力し合って行う劇場型の犯罪と言えます。
地面師にはグループがあり、詐欺の役割分担が存在します。
地面師らが、周到な準備を行い、
6か月から1年くらいの期間をかけて舞台装置を作ってゆきます。
例えば、以下のようなキャスティングがあります。
・プロデューサー:シナリオを描くリーダー役
・図面師:ブツ(不動産)を探す役
・手配師:なりすまし役を探す役
・道具屋:偽造書類などのアイテムを作成する役(元印刷屋や印鑑屋、外国人など)
・役 者:所有者や相続人などになりすます役
・専門家:不動産取引や登記手続きに精通する役(元?司法書士や弁護士)
・指南役:演技指導役
など、複数の人材がそれぞれ案件ごとに、重要な役割を果たしています。
不動産売買による所有権の登記へ
司法書士の悩み2-本人確認と司法書士の役割
① 地面師はどんな方法で買主や司法書士をだますんですか?
一般的には、
偽の売主(所有者や相続人)が、
偽造アイテム「登記済権利証や印鑑証明書、実印、本人確認書類(運転免許証など)」を用意し、買主から売買代金や融資金をだまし取る方法が多いです。
② 地面師は、どのような手口を使うのか?
※ 多くの場合、買主側の心の余裕をなくすように仕向けていきます。
ポイント1(不動産の売値を安くし、取引を急がせ、現金取引を要求する傾向)
A 相場よりも安い価格の提示
B 事情があって、すぐに代金決済を要求する(例:明日とか1週間後など)
C 現金決済又は現金の用意を求める(融資の場合は金融機関の調査が困る)
D 買主が複数いると思わせ、買主の競争心をあおって焦らせる
ポイント2(買主を納得させる、もっともらしい理由がある)
※ 貴重な不動産を売る売主は少ないので、売主の多くは何らかの売る訳がある
A 訳アリの売主の借金返済の話をする
B 売主の親族が民事上の損害賠償を求められている
C 大きな投資があり急な資金に必要という
D 売主の親族が会社のお金を横領して穴埋めをしたいなど、
内緒だったり、表ざたにしたくない理由が出てきます。
ポイント3(事前の本人確認や調査をさせにくくする)
A 本人確認させないような理由を作る
(例:人嫌い、高齢で病気がち、気難しい人で取引をこわしたくない、弁護士が代理人だから信用しろ、遠くの老人ホームにいる、海外にいる、など)
B 価値がある土地を売りたい人が少ないという常識を逆手に取る
訳アリで売る方がいるから、売主の機嫌を損ねないようにと、忖度を求められる。
例えば、
・売主が外見を気にしているので、会って本人確認をして欲しくないと言う、
・おたくの会社だけの極秘情報だから口外しないように、
・息子(又はブローカー)が代理人としてすべてを任されている、
など。
C 本人確認日を厳密に指定してくる(その日だけ売主の自宅に役者を張り付かせる?)
D 司法書士へは、登記必要書類のコピーやFAXを決済の直前まで渡さない
など
ポイント4(決済での本人確認をさせにくくする)
A 取引を複雑にする
相続と売買登記を一緒にしたり、A➡B➡Cを順次売買を一括で行う、
など、確認書類を多くしたり、BのみでなくAの本人確認もしたいが、させない。
B プレッシャーを与える
元々、忙しい決済ですので、
大量の書類や確認事項・送金手続き・精算・引渡しなどがあるなか、
司法書士が本人確認しても、忙しいフリや興味ないフリ、
代理人やブローカーの言葉や態度による妨害などにより、本人確認をしにくくする。
C ほとんど本人確認に協力しない
司法書士に売主や不動産業者が難癖をつける。
司法書士は登記だけしてくれればいいという、昭和的な発想を持ち出す、など。
気が弱い人は決済をする司法書士に向かないかもしれません。
D 司法書士の助言を聞かない
司法書士が多少怪しいと思っても、明白な根拠がその場で出せなければ、
仲介手数料欲しさの不動産業者や土地を仕入れたい買主は司法書士の助言を聞かない、
など。
なお、取材で聞かれることも多かったのですが、
地面師に狙われやすい不動産や地面師への対策については、
次のバナーで「地面師とは?その3」の第2以下へどうぞ
司法書士長田法務事務所の紹介
司法書士の悩み2-本人確認と司法書士の役割
気になる質問でしたが、正直言って、被害者のことを考えると答えにくい質問です。
ですから、マスコミ各社の報道事実と登記簿謄本記載の事実からの感想です。
1~6は、平成29年です。(時系列は日本経済新聞H30年2月24日より一部引用)
1.3月下旬 土地売却情報をハウスメーカーさんが入手
2.4月24日 売買契約締結(手付金支払い)
※ 所有権移転請求権仮登記及び 2番所有権移転請求権の移転請求権仮登記が入る
(いずれも、平成29年4月24日売買予約)
3.5月上旬 真実の所有者と名乗る者より、売買契約をしていない旨の内容証明郵便など複数の連絡が届くが、ハウスメーカー側は怪文書として十分な対応をとっていない
4.6月1日 売買決済(残代金支払い)及び所有権移転本登記申請
5.同日 ハウスメーカー社員が建物に入ろうとしたところ、警察官に任意同行を求められた
6.6月9日 法務局が所有権移転登記の却下
7.平成30年1月24日付のハウスメーカーさんの調査報告書
(書面審査を過度に信頼した、とある)
私が複数のマスコミの記者から聞いたことは、
他の不動産業者は、売主側に違和感を抱いたので独自の調査を行い、
被害にあわなかったとのことです。
私が、上記のような経緯を前提として思うことは、
A.社内の体制やそのチェック機能が不十分であったこと
B.書面審査を過度に信頼したこと
C.特に、5月上旬の真実の所有者の文書を無視したこと
などが、残念な結果の原因の1つだと考えています。
しかし、司法書士からみると、
ハウスメーカーさんが売買契約の時点で仮登記を入れた行動からみて、
取引に慎重であった点がうかがえます。
もしかしたら、当初の地面師グループのシナリオでは、
手付金のみ(14億円?)をだまし取る予定だったのかもしれません。
(仮登記が通らなかったら、途中で地面師事件とばれてしまうからです)
しかし、2.の4月24日に、
所有権移転請求権仮登記及び
2番所有権移転請求権の移転請求権仮登記が無事に入ってしまったことが、
悲劇の始まりたっだのかもしれません。
なぜならば、仮登記が入ったことで、
少なくとも実印と印鑑証明書は法務局審査を突破したことがわかり、
地面師側も買主側も、取引に安心してしまったのかもしれないからです。
きっと、仮登記ができたことで地面師側は小躍りしたことでしょう。
巨額の残金をだまし取るシナリオが現実味を帯びてきたのですから。
一時的に、運が地面師側に味方してしまったのかもしれません。
(最後は運が尽きましたが)
(運とは、仮登記・偽の売主の本人確認ミス・真実の所有者から買主への警告など、いくつもの高いハードルを地面師側がくぐり抜けてしまっていることです)
後日の報道では、
ハウスメーカー側の司法書士さんは、
偽の売主が干支や生年月日を間違えたことに気づいたとされています。
それでも、この登記を実行した理由が気になりますし、
他にも気になる事はいくつかありますが、ここでは控えます。
司法書士としては、
6.6月9日の所有権移転登記の却下も気になります。
こんなに早く法務局が却下決定書を出すものなのか?
法務局は、通常は当事者に取り下げを要求することが多いことと、
私が却下された経験がないから余計気になります。
もしかしたら、
私は、3.の5月上旬に真実の所有者がハウスメーカーさんに連絡する時から、
真実の所有者は、法務局宛に、不正登記防止の申出をしたのではないかと思います。
この申出の際に、真実の所有者の真実の実印と印鑑証明書を法務局に提出します。
それで、5.の6月1日の登記申請後、法務局がすぐに当事者を呼び出して、
偽造書類による登記申請の説明をして、
登記が取下か却下となったと思います。
この不正登記防止申出制度は、
申出には、冷やかし防止のためにいくつか要件があって、
申出のハードルが高いものの、
現行の不正登記防止申出制度は登記簿上の公開がなされておらず、
あくまで、
法務局が真実の所有者に向けて不正な登記が入ったらお知らせしますよ、
という制度です。
(もちろん法務局は、問題の解決も当事者にお願いしています)
ですから、今回のハウスメーカーさんの司法書士は、
決済前や申請時に登記簿謄本を閲覧しても、
この申出がされているかはわかりませんので、
今回のように、真実の所有者が不正な取引に気づいていたのに、
登記簿にその旨の公示がないために、
買主さんはお金を支払って登記を実行してしまったと思います。
高額で価値のある不動産は、地域でも噂となり、
真実の所有者が、
登記済権利証を盗まれたり、
地面師に狙われていると気づくケースもあります。
この申出時に、
不正登記防止申出事実が登記簿に記載されるシステムになっていれば、
少なくとも第三者は誰もこの不動産の取引をしないはずですから、
この事件は5.の6月1日の決済や登記申請はしなかった可能性が高いと思います。
そして、
他にも防げる地面師事件があったのかもしれません。
今後の制度のバージョンアップが待たれます。
不動産業者さんとの業務提携
司法書士長田法務事務所の紹介
1.結論
司法書士も業務範囲が広くなって、決済に慣れた司法書士とそうでない司法書士がおり、
地面師事件を見ぬけないことがあります。
仮に地面師と見ぬけなくとも、
通常の司法書士としての注意義務を果たせば、
司法書士に責められるべき過失が大きいとはいえないと思います。
なお、偽造書類や地面師を見抜くノウハウは、各司法書士によって異なりますが、
ここでは公益上、割愛します。
司法書士は、そのプライドと資格をかけて本人確認に臨んでいます。
それでも、守り切れないことがあるということです。
以下を読んでいただければ、地面師事件の奥の深さがわかると思います。
それくらい、地面師事件を防ぐことは難しいといえ、
地面師対策としては、
地面師に隙を与えない(経験豊富な司法書士に依頼することも含む)、
狙われないようにすることが最大の対策だと思うのです。
2.司法書士が地面師を見抜くことが難しい5つの理由
以下のようなことが考えられます。
その1(司法書士が売買の実体に深く関与しにくい現実)
現行の法律上、
司法書士は不動産売買の実体に関与しにくい法律となっています。
(司法書士法第3条、弁護士法第72条)
司法書士は、あくまで登記申請の代理人にすぎず、
(だからこそ、利益相反の恐れがなく双方代理ができることになっています)
本人確認は登記委任契約上の注意義務としてするものの、
通常は、売買契約書などの書類ができてから、
登記申請に耐えうるか否かの書類審査と実行をすべきものであり、
不動産業者や弁護士のように、
売買契約の実体に深く関与することが予定されていません。
(その代わり、裁判例をみると、地面師被害の責任は司法書士よりも、不動産会社や売買当事者の方が大きいといえます)
通常、不動産の売買には、
売買契約前に、当事者や代理人との複数回の打合せや調査があり、
売買契約から決済日までも1ヶ月以上の調査期間があるところ、
司法書士は、
通常の決済では、売主買主と会うチャンスが残金決済時1回の短時間に過ぎず、
その短時間の決済の場で本人と初めて会い、初めて売買・登記書類の原本を見るのです。
(書類のFAXは事前にありますが、字が見にくい書類も多く、単に書類作成のためにFAXをもらうようなものです)
そんな短時間で、
6か月~1年という地面師の準備期間と
デジタル技術の粋を集めた偽造書類を見破ることは、
まさに神業と言ってもいいでしょう。
(司法書士は登記に詳しいただの人であり、神ではありません)
その2(報酬がリスクに見合っていない現実)
司法書士が取引の実体に関与することが予定されていない以上、
不動産業者さんや弁護士さんと違い、
決済報酬の相場はリスクの割に安くなっています。
今は、法が予定した司法書士像と異なり、どこよりも厳しい本人確認や登記書類以外の調査などを求められることが多く、リスクに見合った報酬を請求する時代が来たと感じていますが、まだ、それを当事者に受け入れてもらいにくい現実がありますので、司法書士側も努力しなければならないと感じています。
その3(司法書士の決済における立ち位置の現実)
不動産取引においては、
売買残代金の決済時に、本人確認と書類のチェックを行い、
売主と買主がお互いの意思で取引をしているかを確認する最後の砦、
という建前です。
しかし実際には、
不動産会社や金融機関が司法書士を選ぶことが多く、
力関係では、司法書士は下請けのように弱いところがあることは否定できません。
ニュースでも聞いたことがあると思いますが、
地面師事件では、地面師側につく司法書士がいる場合は、
司法書士の目線でその対策が取られています。
仮に、司法書士が多少不審な点があるからと言って憶測で不動産取引を止めることは、
売主や買主、不動産業者、金融機関などの
様々な利害関係人の利益を損ねることがありますので、
司法書士自身も、決済を止めることは相当の覚悟と正当事由が必要です。
ですから、多少怪しい位では決済を止められなかったケースもあったと思います。
その4(本人確認ノウハウの個人差が大きい現実)
本人確認の具体的な方法やノウハウが、司法書士会などの研修にはほとんどなく、
個々の司法書士の経験則やその能力に頼っていますので、
司法書士に能力差がかなりあると感じます。
残念ながら、
不動産業者との話題や同業者とコラボレーションしたときに、
私たちを不安にさせる司法書士がいることも事実です。
特に、3月や9月などの企業の決算期や、
五一〇日(ごとうび)、月末、大安・友引などの決済が集中する時期は、
司法書士が不足することがあり、
経験不足の司法書士や無資格の事務員が決済に来ることがあります。(地面師もこんな時期を狙ってきます)
私は、自分で何回か変な取引を経験し、
怖い思いをして学んだことですので、座学より経験がものをいう気がいたします。
その5(精巧な偽造書類から本物までが作られる現実)
デジタル技術の進歩から、
本人確認書類である運転免許証などは、本物との違いは決済場で見抜くことは難しい。(警察へ運転免許証を持っていって調査を依頼すれば別ですが、そんなことは決済ですることはできません)
また、ネットに登記済権利証をはじめとする各種書類の画像が出回っているために、プロの印刷技術者からすれば、偽造は難しくないと聞きます。
さらに、
偽造の本人確認書類さえあれば、
市役所等で印鑑を改印する方法で本物の印鑑証明書を発行してもらえることや、
役所の本人確認が司法書士より甘いことも、地面師は知っています。
また、
偽造の運転免許証と改印した本物の実印や印鑑証明書を持参して公証役場へ行けば、
登記済権利証がなくとも公証人による認証をすることで、
登記済権利証の代わりもできます。
つまり、
免許証も精巧な偽造では通常見破れず、
本物の印鑑証明書と実印がでてきて、
登記済権利証の代わりに公正証書がでてくれば、
誰がそれに異を唱えられるのでしょうか?
通常の司法書士の場合はお手上げです。
※ 個人的には、公証人の本人認証で登記をすすめることは、私は勧めません。
以上のように、
不動産取引の現場の過酷さや消極的なことを多く書きましたが、
多くの司法書士は、限られた権限と時間の中で、自分なりに研究し、
少しでも不動産取引が安心してできるよう、研鑽を積んでおりますので、
ご自分で信頼できる司法書士を選ぶことも地面師対策の1つといえます。
また、多くの不動産業者は、本人確認や調査に協力的ですし、
宅地建物取引士の資格を有する不動産取引のプロですので、
通常の不動産取引は、99.9%安全です。
大切なことは、普通のことを普通にこなすことなのです。
無理なことや怪しいと感じることがあれば、
一呼吸をおいて、リリースする余裕も大切です。
不動産のような高額の商品なのですから、
皆様には、多少の経費や調査費用を大目に見ていただくようお願いします。
不動産の世界には、本当に安い不動産はないと思います。
安かろう悪かろうは、この世界でも常識なのです。
メールによるお問合せやご予約へ
さて、復習となりますが、
地面師とは、(簡単に言えば)
おおよそ、他人の土地の所有者に成りすまして、
鮮やかな手口でお金をだまし取る不動産を扱うプロの詐欺師集団のことです。
具体的には、
他人の不動産を勝手に売り飛ばしてしまう、
他人の土地を担保に入れて融資金をだまし取る(地面師とは?ーの続編に記載)、
ということが以前は多かったのですが、
他にも、
親族を中間に挟んだり、
相続人になりすましたりと、
地面師の手口はバラエティー豊かに変化し、手口がますますバージョンアップします。
これからもこの劇場型犯罪からは、目が離せません。
最近は、地面師が少しなりを潜めていますが、
人のうわさも75日、
人々が忘れたころにやってくるでしょう。
(歴史は繰り返すのです・・・地面師事件は戦後から今まで続いています)
私は、今までは運よく怪しい事件を避けてきましたが、
司法書士である以上、いつ騙されるのわからず、
実は、不安の毎日を過ごしています。
このコラムは、専門家向けには書いていませんので、ご留意ください。
また、相談例は内容が特定できないように変更しています。
不動産登記のご相談は、東京都墨田区の司法書士長田法務事務所へ
☎ 03-3635-2119
なお、このコラムを読んで私自身や司法書士との業務などに興味があった方は、
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